エロシーンはないけどこれは良いヤンデレ。
この先関係がどうなっていくのか気になっちゃう。
■所要時間:17分 ■約9198文字
アブっぽいやつ寄ってく?
「【エロ小説・SS】ヤンデレのお姉さんに拉致監禁され足を折られて逃げられない」開始
目が覚めると古ぼけた屋内の中に僕はいた。
中古のアパートで建物の老朽化があちこちに目立ち、自分が住んでいる家とは全然違う。
田舎に帰った頃に感じられる懐かしいの樹木の匂いがする。余程、このアパートが建築されてから随分の歳月が経っているのであろう。
それはともかく、僕は両足両腕をしっかりと縄で縛られていた。
いかにも、僕は一体どこの誰かわからない人間に拉致か誘拐をされてしまったのだろうか?
恐らく、後者だろう。こんな高校生になったばかりのガキを拉致する変態よりも、誘拐して多額の金を両親に請求する誘拐犯の方が
この不景気の世の中では当たり前だと思ったのだ。
狭い家に閉じこめられているが、犯人らしき姿はどこにも見当らない。両親に多額の身の代金を請求している最中だろうか。
見張りも置いていないし、単独犯による犯行なのだろうか? 僕は冷静に物事を考えていた。
今の状況に不安や怯えなど感じないと言えば嘘になるが、誘拐されたことを僕にとってはいい機会だと思っていた。
両親同士は不仲であり、父と母は互いに口を合わせず、顔を合わせない日々が長い間ずっと続いていたからだ。
そんな間に生まれた息子は可愛いはずもなくて、愛情を注ぐどころか、名前さえ呼んでもらった記憶もなかった。
常に放任されて、自分はただ家族の中で孤独を背負って生きていたのだ。
もし、誘拐されたことによって僕の事を想っていてくれるなら。助けだそうと身の代金を払うか、
それなりの行動を表に出してくれるはずであった。だから、今だけは誘拐犯に礼を述べよう。ありがとうと。
意識を取り戻してから、しばらくすると。玄関のドアが開く音が確かに聞こえてきた。
僕を誘拐した犯人が襖で塞がれた間を躊躇なく開けた。
「ただいま……」
「あっ……」
僕は自分が予想していた事が裏切れて茫然としていた。誘拐犯だと思っていた犯人は、若い女性であった。
黒い髪を長く伸ばしすぎて、陰気な印象を感じさせる。その白い肌は陽に焼けたこともなく、容貌は端正に整っていて美人だと言ってもいい。
ただ、彼女を包み込む暗い何かが全てを台無しにして、近寄りがたいオーラーを全身に発していた。
その彼女はスーパーの袋を片手に持って、僕の方を嬉しそうに見つめていた。
「えへへ……今日から私は一人じゃあないんだね」
その女はスーパーの袋をその場に置くと縄で縛られている僕の体を抱き締めた。
腕に強い力を込めながら、彼女の体は震えていた。温もりを求めるように、僕の体が望むように。
彼女は僕に何かを求めていたが、そんなことは知ったことじゃなかった。
誘拐犯だと思っていたが、実は全然違うようだ。これは誘拐ではなくて、拉致だったのだ。
「き、君の名前はなんていうの?」
僕の顔を頬で擦り合いながら、首に腕を回した彼女が優しく微笑んで聞いてきた。
教えてやる義理もなかったが、今の自分に陥っている状況を理解していると彼女を邪険するしかなかった。
「僕は河野京介(こうの きょうすけ)って言います」
礼儀正しく僕は拉致した彼女に挑むように刺々しく言ってやった。
気を悪くした様子が見えない彼女は僕の頭を撫でながら……可愛らしく媚びるように言った。
「お姉ちゃんの名前はね……。須藤 英津子(すどう えつこ)って言うんだよ。京介君。これから、ずっと私と一緒に暮らすんだよ。よろしくね!!」
僕は全身に悪寒が走って行く。余りにも居心地の悪さに抱き締められているだけでこの場所から逃げ出したくなった。
年上の女性が舌足らずの口調で甘えてくる光景は年下の僕にとっては悪夢に近い。
まだ、これが同世代の女の子なら頬を赤面させて照れているだけで済むのだが。彼女はちょっとだけ痛い。
こんな暗い性格だったから親友と呼べる人もいなかった。孤児院を出てから社会人になっても、私は一人だった。
でもね、会社の仕事の帰りに一人で歩いている寂しそうな男の子を見つけたの。私と同じ、温もりに餓えている京介君を」
「だから、僕を拉致してきたというのか?」
だんだんと意識を失う前の記憶が戻ってきた。そう、僕は拉致される当日はいつものように友人の家で陽が沈むまで遊びまくっていた。
それは僕にとっては日常茶飯事であり、あの家に戻りたくないという意志の表れであった。
その帰り道に僕の背後を歩く足音をはっきりと聞こえていた。そして、僕は……誰かに頭を何かで殴られた。
「うん。そうだよ」
焦点の合わない虚ろな瞳で英津子さんは僕に微笑する。
「夕食のおかずにしようとした大根で京介君の頭をぽかんと殴ったんだよ。
幸い、私の家から近かったことだったし。私の家で監禁して調教すれば私のモノになってくれるはずだから。
だから、こうやって縄で両手両足を縛っているんだよ」
殴った凶器は大根だったんですか……と僕は口から空気の読めない言葉を溢れだしそうになったのを必死に留めた。
ただ、拉致を躊躇なく実行した英津子さんは狂ってる。
更に僕を監禁して調教するという言葉にさっきとは違う恐怖を覚えた。
自分の心の隙間を埋めるために同じ空気を持っている僕を利用する。僕の都合を考えずにだ……。
「う、嘘でしょう……本当の誘拐犯なんでしょう?」
「どうして、京介君を誘拐しなきゃいけないのかな。身の代金を要求する金額を貰ったとしても、
私の暗闇と底無しの絶望から解放されるはずがない。
独りぼっちの恐怖に打ち勝つことができないよ。でも、京介君が傍に居てくれるなら。私は救われるんだよ」
「僕は……帰りたい。昨日まであった僕の居場所に」
確かに両親の仲は不仲で僕の居場所なんて存在していないかもしれない。
でも、僕の家以外の居場所はあったんだ。学校に通えば、心を許せる友人たちが居る。
笑い合ったり、喧嘩したりといろいろ友情を深め合った仲間たちがいる。
英津子さんとは異なるのは僕にはまだ救われるモノがあるからだ。
それと反対の位置にいる英津子さんが居る場所は、完全なる破滅。
独りぼっちの恐怖に負けて、孤独の辛さに我慢できずに手を出しては行けない禁断の果実を手にしてしまった。
それは、犯罪という甘い誘惑だ。
一時の温もりが欲しかったために英津子さんは犯罪に手を染めてしまったのだ。
「だ、ダメっっ!! 京介君はお姉ちゃんとずっと一緒にいるんだよ。もし、京介君がここを出て行くと言うなら……私は死ぬんだからっっ!!」
抱き締めていた僕の体から離れると台所から鋭利な刃物を取り出した。
それを英津子さんは自分の首に当てていた。少し力を入れているのか、血の雫が首筋を伝ってぽつりと零れ落ちて行く。
「あっつははっは……京介君京介君京介君っっっ!!」
僕は弱かった。こんな電波女を突き放す言葉を言えば、勝手に自滅して死ぬかもしれない。
そうすれば、僕は助かって元の居場所に帰れるはずだった。
でも、一人の女性の追い詰めようとするのは間接的に僕は殺人を犯したことになる。
僕のせいで誰かが死ぬのは到底耐え切れるものじゃなかった。
抗うこともできずに、僕は全面降伏するしかなかった。
「ご、ごめんなさい。僕が悪かったです。だ、だ、だから、死ぬなんて言わないでください」
「き、京介君っっっ!!」
凶器を力なく落として、泣きながら英津子さんは再び僕の体にしがみつく。身動きできない僕は彼女の温もりを感じていた……。
抜け出すことができない狂気に絶望することしかできなかった。
これが、僕を拉致した電波女と全てを失った僕との奇妙な共同生活の始まりであった。
僕が拉致されてから数日の月日が経っていた。縄で縛られて監禁状態はすでに卒業している。
英津子さんが導いた僕をこの家から抜け出さずに依存できる方法は常人では到底理解できない方法であった。
そう、足を、骨を、折ってしまえば、逃げることは不可能だ。
まさかと思った提案は発言直後に実行された。鈍い痛みの後に僕は気を失ってしまい、起きたら縄を解かれて、
逆に足にはギプスがはめられていた。右足が骨折して、英津子さんの診断によるとなんとなく全治3ヵ月だよてへ。
だそうだ。
もう、この女は狂っているとしか言いようがない。
僕は肉体的な痛みよりも彼女に生活の全てを依存しなきゃいけないという精神的な苦痛に苦しんでいた。
骨折した後に嘘のような謝罪の言葉と治療が完了する頃には京介君の調教を完了しているよと有り難くもない予言していた。
吐き気がする。
英津子さんと同じ空気を吸っていることが、英津子さんが作ってくれた手料理も、
英津子さんの必死すぎる看病も。全てがうんざりしていた。
孤独を埋めるための手順。そして、僕の全てを奪っていた。
憎いという一言だけでは片付けられない。
僕は英津子さんに同情と憐れみを抱いていた。
真っすぐに僕の様子を見て、部屋で大人している所を見ると彼女は安堵の息を漏らす。
それはそうだろう。僕が骨折の痛みをやせ我慢して助けを呼ばれることになれば、
英津子さんは間違いなく逮捕されるであろう。英津子さんは震えた体で僕を抱き締めると頭を撫でてくれた。
僕は愛玩動物じゃないんだぞと言いたかったが、頭のおかしい英津子さんに何をされるのかわからない。恐すぎるっっ!!
「京介君は今日も家で大人しくしてくれていたから。お姉ちゃんとっても嬉しいんだよ。
夕食に京介君の大好きな物を作ってあげちゃうよ。何が好きなのかな?」
「もやし炒めでお願いします」
「も、も、もやし炒めねぇ……。もやしはお姉ちゃんは大嫌いだから。そうね。カレーライスにしましょう。うん。決定だよ」
骨折している足をさっさと治療するために栄養のある食材を摂って、ここから抜け出したかったのに。
と、台所に向かって食材を鼻歌混じりで機嫌のいい英津子さんの後ろ姿を凍り付くような殺意に似た視線を僕は送っていた。
「今日も明日も~10年後~るるる~~ずっと~~京介君と~~一緒だよ」
幸せの絶頂にいる英津子さんには全く気が付く様子もなくて僕は思わず嘆息した。
しばらくすると部屋にはカレーの匂いが充満して、朝から何も食べてないせいか食欲が沸いてくる。
カレーが出来上がると笑顔で英津子さんは二つのお皿を持ってやってきた。
テーブルは僕が寝ているために片付けられているが、英津子さんは僕の隣にやってきて、右腕にしっかりと彼女の腕が絡み合うように組む。
「京介君は怪我人なんですから。お姉ちゃんがちゃんと食べさせてあげるね」
「僕は一人でも食べられますよ」
「ダメです。私が食べさせてあげるんだから。京介君。はい。あ~ん」
スプーンにカレーを僕の口に持ってきた。英津子さんを怒らせると
今度は臓器まで摘出される恐れがあるので僕は大人しく従った。
口に入れると普通にカレーな味はするが、女の子から恋人らしいことをしてもらった経験のない
若造である僕は何らか感動を覚えてしまうのは無理はない。
「お姉ちゃんが作ったカレーは美味しい?」
「うんっ」
「じゃあ、いっぱいいっぱい私が食べさせてあげますよぉ。京介君もたくさん食べてね」
英津子さんは喜んで僕にカレーを食べさせた。自分の手で食べることは全くさせてくれない。
最初はこの状況に文句の一つを言うと、英津子さんは目に涙を蓄めて潤んだ瞳で訴えるように僕を見つめてくる。
その仕草に参らない男性はいないだろう。
特に僕のような子供が大人の女性の魅力と泣き落としに勝ることができずに、忠犬のように従うことしか道は残っていない。
「えへへっ……。お姉ちゃんはねぇ。京介君が来てくれたから。会社のお仕事が終わってから家に帰るのはいつも寂しくして嫌だったけど。
今は誰か待ってくれている人がいると思うと嬉しくてたまらないの」
英津子さんが無理矢理拉致してきたんだろうが!! と僕は笑顔を崩さずに心の中にツッコミを入れてしまう。
言ってしまえば、腕を骨折しそうで扱い難しい。
僕と英津子さんは食べ終わると食器を片付けると就寝までの時間はぼんやりと二人で部屋を過ごすだけ。
ただ、普通の同居人でない英津子さんは僕の手をしっかりと握り締めていた。指と指を絡め合う恋人握りってものです。
英津子さんの手は震えていた。何かに怯えるように震えていたが、僕はあえて彼女の暗闇に触れようとはしなかった。
所詮は、僕と英津子さんの関係は英津子さんが拉致した事による作られた偽りの関係に過ぎない。
彼女の寂しさや孤独を埋める義務は僕にはないのだから。
これは僕が今までの生活を奪い取られた事に対する精一杯の抵抗であった。
「京介君? 寒くない。お姉ちゃんはとっても寒いから。今日も一緒に寝てあげるね」
「別に寒くはありませんし、年頃の男女が間違いを起こす可能性もありますし。丁重にお断わりします」
だが、僕の拒否の意志をはっきりと示しているのにも関わらず、英津子さんは問答無用に僕の布団に入り込んできた。
まあ、一人暮らしの英津子さんが寝る場所は僕が奪っているから仕方はない。
「じゃあ、もう電気を消すね」
繋がれた手を離さずに電気の明かりを消すと部屋は薄暗くなってきた。
再び入り込んだ英津子さんはさっきよりも僕の体にしがみつくように密着してくる。
女性特有の温もりを感じてしまうが僕はそれを感じる余裕はなかった。
「京介君の足は大丈夫? 痛くない」
「とっても……痛いです。当分、寝られそうにはありません」
「ごめんね。お姉ちゃん。こんなことしか京介君をここに閉じ込める方法を知らなかったから。ごめんなさい。だから、嫌いにならないでっっ!!」
再び震える手が僕を求めるように痛みを感じるぐらいに強く握り締められた。
一人という孤独と寂しさに耐えられる人間はいない。英津子さんは
それらの苦しみを抜け出すために僕を奈落に誘い込んだ。
同じ匂い、同じ空気、同じ境遇。僕と英津子さんを結ぶ接点はただそれだけ。
この関係に愛情はなくて、互いの傷を舐め合うだけの関係なのだ。
だから、僕は英津子さんに愛情は求めない。できることは、ただ同情だけ。
答えが返ってこないことに不安になったのか、英津子さんは僕の顔を覗き込んでくる。
「き、き、京介君は、あ、あ、明日は何が食べたい?」
会話の話題を変えるのに必至になっていた。だから、僕も英津子さんを安心させるように食べたい物を言った。
「もやし炒めで」
短編ですが一度書いてしまうと予定よりもお話の中に入れたいことを
少しだけ詰めたいために予定した短編3話の完結はちょっと難しいと思います。
もう少しだけ延びそうです。
折っといて謝るところがいいヤンデレ
今日は英津子さんが休日だったので僕と彼女はお互いの顔を睨めっこするように一日中飽きずに見ていた。
それしかやることがないのだ。骨折した足の具合はまだ悪くて、外に出掛けることは不可能。
監禁している状態で僕を外出すると問題なく他人に大声で助けを求めるであろう。
それに対して英津子さんは会社に行く事と買物する以外は僕の隣で手を握っていた。
僕の温もりを感じるだけで安心するらしい。微笑ましい英津子さんの照れている顔にいい加減に飽きる。
毎日毎日同じ事の繰り返しだ。そこに退屈を覚えても、新たな新鮮な出来事に遭遇するわけでもないし、
電波女と慰めしかやる事がないのはいろいろと欲求不満になってくるわけだ。
ここで初めて僕はこの監禁されている場所から抜け出して、自分の家に帰りたいという気持ちが胸から溢れだしそうになった。
さっさと僕の居場所に戻って、僕の世界へと回帰する。仲間達とまだまだ遊びたかったし、
引き裂かれる寸前の家族を救うことも諦めていなかった。
そろそろ、20過ぎの独身女性の心の隙間を埋めるボランティア活動は終了させてもらおうか。
機会はある。
英津子さんは今日は休日なので必ず買物に行く。その瞬間を狙って、ドアを叩き開けて周囲に助けを呼ぶ。
その辺を歩いている通行人でもいい。助けを呼べば……僕は帰れるんだ。
昼頃を過ぎると英津子さんは冷蔵庫の中を険しい顔をして覗いていた。
普段は仕事で忙しい彼女は休日にいろいろと買い溜めをしておいて、休日になるまで食材や材料を切らさないように気を遣っていた。
また、休日になると食料を補充するために買物に出掛ける。
これが僕と英津子さんが同居している時に気付いた彼女の生活パターンである。
もちろん、自宅に僕がいるから鍵を閉めるなんてことはしなかった。
「京介君。お姉ちゃんねぇ、ちょっと近所のスーパーまで買物をしてくるから。よい子で待ってくださいね」
「はい。わかりました」
僕はいつものように笑顔で返事を返すと外に出掛ける英津子さんを注意深く観察する。
バックを持って、英津子さんが玄関に行ってドアを開けて出掛けるところを確認すると。
時計で5分ぐらい待ってから、作戦を実行に移す。
寂しさと孤独を紛らわす生活に慣れていた英津子さんは油断していた。
一緒にご飯を食べて、一緒に居る時間が長かったから
英津子さんは僕が立派に調教されて大人しく従う愛玩動物になっていると……。
現実はそう甘くない。帰る場所がある人間は揺るがない。
擬似的に僕の寂しさと孤独が英津子さんによって癒されたとしても、
捨て去ることができない物がある以上は優先順位に従って、人は行動する。
だから、僕は動かせば激痛がする足を引き摺ってまで玄関のドアの方向へゆっくりと動いた。
左足を軸にして、大根によって折られた右足を少しづつ動かす。
1cm単位でも動かせば、感じたこともない痛みに苦渋の表情を浮かべるが。僕は我慢した。
希望の扉まで後もう少し。ノブに手が届くと僕は最後の力を振り絞って。
ドアを開けた。
のはずだった。
開けた先には英津子さんがいつものように優しく微笑んでいる表情を浮かべて待ち伏せるように立っていた。
「京介君……、一体何をやっているのかな? かな?」
「あっっ……、いやぁぁ……」
僕の顔色がどんどんと青くなっていくのがわかる。英津子さんは外見は笑顔を崩さずにいるが、
目は全然笑っていなかった。女の子が怒っているのは、暴力や汚い罵声など
頼らずにただひたすら冷笑するだけで男を怯えさせることができるのだ。
「お姉ちゃん。言ったよね? 京介君はよい子で待ってくださいね? どうして、私との約束を守れなかったの。
そんな悪い子にはちゃんとしたおしおきが必要だよ」
「い、いやぁ……。や、やめて」
英津子さんは僕を突き放すように押すと尻餅を着く。その間にドアを閉めて英津子さんは僕の方に近寄ってきた。
「京介君はもう私の物なんだよ。勝手に外に出掛けたらどうなるかわからないわけじゃあないでしょ。
私と京介君だけの生活が終わちゃうんだよ。私は絶対にそんなの嫌っ!! もう、一人は嫌なんだよ」
骨折している足の激痛に襲われて蹲っている僕を見下すように冷たい視線で英津子さんは睨んでいた。
視線を合わせるのが恐くて、僕は思わず外した。
「京介君。今度はどこの体を痛め付けて欲しいの? 左足? 右腕と左腕。
どちらが不自由だったら今度はもう私たちの楽園から逃げ出そうとしないはずだよね?」
「もう、やめてぇぇ……。謝るから。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
だから、もうこれ以上は痛い目に遭わせないでください。お願いしますっっ!!」
「そんなに懇願しなくても……。まだまだ、大根はこんな時のためにたくさん買ってきたから大丈夫だよ」
「だ、だ、だ、だ、いこんいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」
冷静な判断できずにあまりの恐怖に僕は精神の限界に耐え切れずに癇癪を起こす。
あちこち身体を激しく動かし、首を左右に揺らす。口から溢れだす唾液は垂れ流していた。
「もう、こんなことはしないよね?」
「う、う、うん」
僕は必至に首を下に振って頷いた。英津子さんの迫力に圧されて、僕の体は硬直していた。
喉の奥深くから懇願するようにようやく声を搾り出して言うと、英津子さんは満足な表情を浮かべた。
「でもね……。ちゃんとおしおきするよ」
「えっ……?」
唖然とした僕の隙を突いて、英津子さんは僕の唇を奪った。
それはキスと呼ばれる行為だったかもしれない。
「んっ……ちゅうちゅ……あっ。京介くぅぅん」
僕の唾液と英津子さんの唾液の交換し、僕の口から侵入してくる英津子さんの暖かい舌が僕の舌と絡み合う。
初めての体験に脳に鋭い電撃が落ちたような感覚に陥る。
英津子さんとの行為に没頭していると骨折した足の痛みもどこかへと飛んで行く。
「え、英津子さんっ……」
「お、お、お姉ちゃんの舌は気持ち良かった?」
唇から離れると僕と英津子さんの間に唾液の糸がいやらしく繋がっていた。
その光景に年頃の男性である僕は興奮を覚える。それは、快楽の表情を浮かべている英津子さんも動揺であった。
「き、気持ちよかった」
「京介君が私の初めてだよ。ファーストキスを貰ったのは……」
「僕も初めてだったよ」
「だったら、ちゃんと責任取ってくださいね。京介君」
「ええっ……!?」
「つ、次はお姉ちゃんのセカンドキスを奪って欲しいな」
僕の返事を待たずに英津子さんはまた僕の唇を奪う。貪るように僕の唾液を飲み込む彼女を拒むことは僕の頭の中にない。
もう、僕はこの監禁生活という現実をしっかりと受け止めてしまったから。
「【エロ小説・SS】ヤンデレのお姉さんに拉致監禁され足を折られて逃げられない」終わり
なんかおもろいやつやらなんやら
な、なんやこれ?
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名無しくんのそのまんまが出たぐっちょぐちょのコメント書いてけよ!
深淵 2016年01月17日 12:59:33
これは良い依存だ、毎回の外出度にドアの前で最低5分は待機していたと考えると愛の重さに胸が熱くなる。