俺はそう言って、スマホにぶっかけた。
白い筋が画面を伝う。バグったように画面がアチラコチラに飛び回る様を見ながら、ルーティン化したティッシュふきをする。
また、この景色か。

電車の車窓から何遍も見た、ビルの群れ。サクラが舞い散る近所の公園。小学生の甲高い声たち。インスタで見る、名字が変わってしまった彼女の写真。
シコらずにはいられない。もしかすると、無意識のうちに感情の高ぶりを抑えるべく、未だに彼女を作らずにしごいてるのかもしれない。
裏切り、はたまた未練か。俺は今日もオナニーを続けた。

尿道の精子の大群を括約筋でしめながら、ティッシュに中出しする。ネットで見た、ちんこを大きくするにはPC筋を鍛えよう！の乱立した記事を読み漁り、実行に移した努力の賜物はここでしか発揮されない。オナホに入れると、あまりの気持ちよさに腰が震え、萎えてしまう。

俺は疑似マンコの劣るのだな。
湿ったティッシュを未だにバグり続けるスマホの画面をそっと拭う。前は押し付けて拭いたが、柔肌を傷つけてはいけない。潜在意識がそうさせたのだ。

拭き終わり、インスタを開こうとしたとき。

俺は
アブ速に
出会ったのだった。

そもそもSMの語源のマルキ・ド・サドだって「ソドム百二十日」という作品の中で、若い男女に対する愛のない徹底的な虐待を描いたこともある訳だし、勝手な自分のイメージでSM語るなんて200年早いわ