■【エロ小説・SS】剣道部で知り合った後輩はツンデレかと思いきや、ヤンデレだったでござるよwwwww
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    ツンデレからヤンデレの黄金パターンwwww
    エロ描写は無しなんで苦手な人はスルーで。
    ■所要時間:30分 ■本文:37レス

    【エロ小説・SS】剣道部で知り合った後輩はツンデレかと思いきや、ヤンデレだったでござるよwwwww

    【エロ小説・SS】剣道部で知り合った後輩はツンデレかと思いきや、ヤンデレだったでござるよwwwww


    「【エロ小説・SS】剣道部で知り合った後輩はツンデレかと思いきや、ヤンデレだったでござるよwwwww」開始

    ヤンデレの小説を書こう!より
    769: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/21(日) 21:16:32 ID:Kcf6rTXR

    テストしてすまない。
    お礼にSSを投下する。


    季節は冬。
    道場には剣道部員の掛け声と踏み込みの音、面を打つ音が響いている。
    その音が一旦止まり、

    「籠手打ち、始め!」

    部長の掛け声をきっかけに、再び音が道場に響く。
    夕方7時、ここ練心館で始まる校外練習は二時間続く。

     
    770: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/21(日) 21:17:22 ID:Kcf6rTXR

    練習が終わり着替えを終えて、外で部員全員が出てくるまで待つ。
    早く帰りたいが、道場に施錠をして鍵を返すまでは帰るわけにもいかない。
    いや、本来はそれすらもしなくていいのだが。
    何せ道場の持ち主の娘がここに来ているのだから。

    一人を除き部員全員が帰ったことを確認した俺は、鍵を閉めることにした。

    「ちょ、海原先輩すとっぷすとっぷ!」
    「あーなんか幻聴が聞こえるな。まるで女の子の声みたいだ。」
    「ばっちり聞こえてるじゃないですか!幻聴じゃないですよ!
    すぐに出ますから待ってくださ~い!」

    声の持ち主が出てから再び施錠する。うん。確認OK。

    「さて、帰ろうか大河内。」
    「先輩。いつも言ってますけど、私が出てないのに鍵閉めないでくださいよ。
    いやがらせですか?それともいじめですか?」
    「不器用な部長なりのスキンシップだ。」
    「へー、そんなこと言うんですか。じゃあ今日お父さんに言っておきます。
    『海原先輩がお父さんとスキンシップしたいって言ってた』って。」

    まずい。いつもより怒っている。
    しかも彼女の父親との『剣道でのスキンシップ』は『死合い』と同義になる。
    本人は遊んでいるのだろうが警察で剣道の指導をしている人間と高校生とでは実力差がありすぎる。
    ライオンがウサギにじゃれついているようなものだ。

     
    771: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/21(日) 21:18:09 ID:Kcf6rTXR

    「すまん。それは勘弁してくれ。もうむちうちになるのは御免だ。
    今度学食でカツ丼特盛か牛丼特盛をご馳走するから。」
    「両方です。」
    「両方かよ!・・・いや、わかった。わかりました。
    ご馳走させていただきます。大河内桜嬢。」
    「わかればよろしい。ようやく身分をわきまえたようね海原。」

    腰に手を当てて高笑いしている。しかし竹刀袋を持ったままだから全然似合わない。

    「さて!じゃあ帰りましょうか先輩!」

    やれやれ。
    このお嬢様の機嫌を損ねるたびに奢らされているというのに
    俺も学習能力が低いものだ。
    しかし、それがわかっていても何故かこいつにちょっかいをかけてしまうのだ。

    それはこの少女の性格がそうさせてしまうのだろうか。
    それとも単純に俺がいたずら好きだからだろうか。

    それとも、俺がこいつに対して異性としての好意を持っているからか。

    ――たぶん全部だな。
    左で歩くたびに左右に揺れるポニーテールを見ながらそう思った。

     
    772: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/21(日) 21:19:02 ID:Kcf6rTXR

    すっかり暗くなった夜道を先輩と歩く。
    四月に剣道部に入部してから毎日のように繰り返されていることだ。
    でも一度も飽きたとか一人で帰りたいとか思ったことはない。

    なぜか?理由は簡単。
    私が先輩のことを好きだから。





    剣道馬鹿の両親と兄を持つ私は物心つくころにはすでに竹刀を握っていた。
    別に強制をされたわけじゃない。
    両親の期待を受けた兄が小学六年生のときには全国大会に出場し、
    中学に入ってからは高校生も打ち負かすほどの実力者になっていたからだ。

    そのため私は両親に稽古をつけてもらったことがない。
    見よう見まねでただなんとなく竹刀を振るようになっていたのだ。

    そのことが影響したのか、中学校では全国大会にも出場し、部員の推薦で部長に任命された。
    だからだろう。私は調子に乗っていた。

    家が近いという理由で入学した県立高校の剣道部は
    過去に大きな成績を残すほどでもなく、弱小と言ってもいいところだった。
    入部一日目の感想はそんなものでしかなかった。
    しかし入部二日目。この感想は変わることになる。

     
    773: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/21(日) 21:19:51 ID:Kcf6rTXR

    経験者ということで早速その日から練習に参加することになった。
    基本練習を終え、次に実力を見るために練習試合が行われた。
    私の試合は最後に行われた。その相手が海原先輩だった。
    海原先輩は昨日は練習に来ていなかったらしい。

    (練習をさぼる人が私の相手をできるの?早く終わらしちゃお。)

    そう思い『はじめ』の合図とともに繰り出した突きは、
    先輩の喉ではなく空を突いた。

    (うそ!突きがくることがわかってたの?)

    予想外だった。どうやら本気でやる必要があるようだ。
    先輩に向かって再度構える。
    しっかり向かい合って分かる先輩の威圧感。
    兄ほどではないが油断できない相手であることが感じ取れる。
    そして自分の持てる最高の速度で突きを繰り出した――




     
    774: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/21(日) 21:22:22 ID:Kcf6rTXR

    「引き分け!」

    両者一本ずつの引き分けの結果に終わった。
    私の突きを先輩が避けて胴を打ち、先輩に一本。
    先輩の面打ちに対して籠手を打ち、私に一本。
    その後はお互い決定打を打てずに引き分けに終わった。

    終わってから私が感じたのは高揚感だった。ものすごく楽しかった。
    ジョギング中にいつまでも走り続けていられるような、
    プールでずっと泳いでいられるような感覚と似ていた。
    今まで竹刀を握っていてこんな気分になったことはなかった。

    練習後、対戦した先輩に興味を持った私は先輩が一人で帰っているところを見計らって話しかけた。

    「海原先輩!」
    「へ?あ、おー、こー・・・皇王池さんだっけ?」
    「大河内です!お、お、こ、う、ち!」

    最初の会話がこんなだった。まさか名前を間違われるとは。
    なんだかとぼけた先輩だと思った。

    妄想が浮かんだので書いた。
    正直、反省していない。
    とりあえずここまで。
    次の投下は脳がスパークしたら今日中に。
    遅くても・・・今週中には。

     
    775: 名無しさん@ピンキー 2007/01/21(日) 21:28:09 ID:tzOD2uWN
    >>774 GJ!
    今はまだ普通の女の子に見える大河内さんが
    どんな風に病んでいくのか楽しみにしてます
     
    776: 名無しさん@ピンキー 2007/01/21(日) 21:39:33 ID:IlYYgP25

    ちょw
    高校の初稽古でいきなり突きとか、なかなか外道なヒロインですね。

    戦闘に躊躇いの無いヤンデレに期待させていただきます!!

     
    777: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 00:52:56 ID:sVWolwVr

    その帰り道でいろいろと聞いた。
    名前は海原英一郎(うなばらえいいちろう)。
    剣道を始めたのは小学三年生。段位は二段。
    意外なことに今まで大会で優勝したことはないらしい。
    気になったので突っ込んで聞いてみたところ、

    「・・・笑わないって約束してくれる?」
    「笑いませんよ。でも、まさか『大会に出るのが馬鹿馬鹿しい』とかじゃないですよね?」
    「違うって、逆。出たくても出られなかったんだよ。
    ほら、大会前って練習に力が入るでしょ。
    俺の場合はやりすぎて体調崩して寝込んで、ってパターンが多いんだ。」
    「でもさすがに七年間続けてっていうのは変じゃないですか。」
    「大会前日に練習しなかったりしたら今度は体がうずうずして
    寝られなくなったりとか、風邪とか怪我もあってね。結局出場したことがないんだよ。
    嘘みたいだけど本当。」
    「・・・ご愁傷様です。」
    「いいえ、亡くなった私のために悲しんでくださって本当に・・・って違う! ノリ突っ込みさせないでくれ。」
    「いやいや、今私ボケてないです。」
    「そういやそうだった。ごめん。」

    そんなことを話しているうちに私の家に着いてしまった。
    残念。もっと長く話していたかったのに。通学路の短さを恨んだのは始めてだ。
    先輩と別れの挨拶をして、その背中を見送っていると急に寒気を感じた。
    寒さからではなく、これが寂しさから来るものだとこのときの私は理解していなかった。
     
    778: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 00:53:36 ID:sVWolwVr

    風呂に入り、遅めの夕食をとる。明日は弁当を持っていって練心館に行く前に食べるようにしないと。
    歯磨きをして、布団に入る。

    今日一日のことを思い返してみる。そして真っ先に思い浮かぶのは、海原先輩のこと。
    私と互角の実力者。いや、私は全力だったが先輩は本気だったとは限らない。とすると互角以上と考えるのがいい。
    しかし今まで私と張り合えるような人間はみんながみんな両親や兄のような遠い存在か、 年が近くても威張り散らしているような人ばかりだった。

    しかし先輩は違った。とぼけているような感じがするけど実際は剣道好きでまじめな人。 初めて会う後輩に対しても親しく接することが出来る人。
    短い髪。私より頭一つ分高い身長・・・。

    「ん・・・」

    なんだろう。むずむずする。もどかしい。パジャマの上から下半身に手を当てる。

    「ひぁっ・・・!」

    秘部のあたりに手を当てた途端、腰がくだけた。

    「なに、これ・・・」

    いままで経験したことのないものだった。
    物足りないようで満たされないような感じ。でも、

    「きもち、いい・・・ふぅ、ん・・・あっ!」

    さっきより強く手を当てるとさらに強い刺激が襲ってきた。
    甘い。手を出してはいけないとわかっていても手を出してしまうほどに。

    そういえば中学生のころに聞いたことがある。
    自分で性器に触って快感を得ようとする自慰行為。
    今まで一度もしたことがなかったけど、

    「これが、そうなんだ・・・」

    でもどうして?今まで一度もこんなことしようなんて思わなかったのに。
    なにが違うの?なにか悪いものでも食べた?なにか考えて・・・あ。

     
    779: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 00:54:16 ID:sVWolwVr

    「海原、せんぱぁい・・・」

    そうだ。あのとき先輩のことを考えていたらこうなったんだった。
    でも、たしかこういうのは好きな異性のことを思い浮かべるものだって聞いた。
    と、いうことは。

    「ふぅ、ん・・・あ、あんっ!わたし、せんぱいのこ、と・・・ふぁっ!好き、なの・・・?」

    本当にそうなんだろうか。今日会ったばかりの人に?
    でもなにもしなくても先輩の姿を思い出すだけで甘い痺れが襲ってくる。

    「だめぇ、こんなの・・・せんぱいにしつ、れぇ・・・はぁん!」

    そう思っても指は止まらない。妄想は止まらない。
    先輩の指が私の秘部をいじっているところを想像した瞬間、

    「あ!ひ、・・・なにこれ、とまらないよぉ・・・ふあ、あ、ああああああンっ!」

    止めようのない大きな波が全身を駆け巡る。その波は私の体をしばらくの間痺れさせたあと、引いていった。
    そして今度は脱力感に襲われた。なんだか芯に力を入れられないような感じ。

    「はぁ、はぁ、はぁ・・・せんぱい、先輩、センパイ、私・・・」

    初めて想い込めてこの言葉を口にします。

    「好きです・・・海原先輩。」

    これが先輩と初めて会った日の記憶。
    それまでの人生で一番楽しかった日。

     
    780: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 00:54:49 ID:sVWolwVr

    翌日、私は一本の鍵を持って学校に行った。
    実家とは少し離れた位置にある道場の鍵だ。
    この道場はかなり昔、祖父か曽祖父が師範をしていたころに建てられた道場で、名前を練心館という。
    現在では剣道の大会などで時々使用するだけで、ほとんど使われていなかった。
    そこで父に部活の校外練習に使うという理由で頼み、許可を得た。

    だが校外練習というのは理由の一つに過ぎない。
    本当の理由は海原先輩と少しでも一緒にいたいと思ったからだ。
    正直に言うと、先輩だけ来てくれればいい。

    顧問と部長に校外練習をする提案をした。
    顧問は道場の持ち主が近くに住んでいるということを話すと許可してくれた。
    部長もはじめは渋い顔をしていたが、最後にはOKの返事をしてくれた。
    部員には希望者のみ参加してくれればいい、と説明した。
    先輩にはその日の校外練習が終わった日に頼みごとをしてみた。

    「海原先輩。お話があります。」
    「ん?なに?まさかこくはk」
    「もう夜九時です。遅い時間ですよね? 外は真っ暗ですよね?
    女の子が一人で帰ったら危ないですよね?
    だから先輩。練習の後に私の家まで付き合ってくれませんか?」
    「ああ、もう九時だ。たしかに遅い時間だ。夏でも九時には真っ暗になっているな。
    女の子が一人で帰ったら暴漢にあうかもしれない。
    だが大河内。練習の後は俺もすぐに家に帰って寝たい。だから断る。」
    「なんでですか!私が暴漢に襲われてあんな目やこんな目にあってもいいと言うんですか?」
    「むしろお前があんな目やこんな目にあわせてしまっ・・・
    いや、すまん。前言撤回する。だからそんな目で見るな。」

    全く失礼な先輩だ。会って二日目だというのにこのやりとり。まるで昔からの友人みたいだ。
    でも――嬉しい。こんなに早く先輩と仲良くなれるなんて。
    これからは毎日先輩と二人っきりで話すことができる。
    もっと先輩のことを知ることができる。先輩のことをすべて知りたい。
    ただ先輩がものすごく怯えているように見えるのはなぜだろう。

     
    781: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 00:55:36 ID:sVWolwVr

    それからは学校での部活動が終わった後に練心館での稽古が行われるようになった。
    参加する部員は十人前後ではあったが、海原先輩は毎日来てくれた。
    狙い通り。昨日の話で先輩が練習大好き人間だということが分かっていたから来ると思っていた。

    校外練習の成果だろうか。剣道部は地区で行われた春の新人戦で団体戦で準優勝を飾った。
    同時に行われた二・三年の先輩達の試合も第三位という快挙を成し遂げた。
    このときに海原先輩も参加しており、初めて手にする銅メダルを感慨深い眼差しで見つめていた。

    第三位という成績をおさめ、練心館はさらに活気付いた。
    部員の八割が校外練習に参加するようになり、大会でも好成績を記録していった。
    それには――海原先輩の参加が影響していると思う。
    私が入部して以来、先輩は『大会の日に必ず体調を崩す』というジンクスが嘘のように消え去った。
    参加する大会ではほぼ負け無し。夏の県大会で全国大会の優勝校のエースと対戦したときだけが例外。
    その戦績で部員達の信頼を得た先輩は夏に三年生が引退するときに部長を務めることになった。

    剣道部も先輩の調子も順風満帆。ただひとつだけそうは行かないのが――





     
    782: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 00:56:19 ID:sVWolwVr

    「俺はいまだに脱皮する必要があるのかわからない。
    最初からあの状態で高速戦闘したほうがいい。
    あれは設定ミスだろう。」
    「最終回が終わったっていうのにいまさら何言ってるんですか。
    だいたい先輩は分かってません。脱皮したら敵を吹き飛ばせるんですよ?
    それにいきなり高速戦闘するだなんて情緒がありません。
    あれが美学というものです。」

    これだ。私と先輩の関係。未だに『部活動の先輩・後輩』のままだということだ。
    半年以上一緒に帰っているというのに先輩は全く私に色気のある話を切り出さない。
    まあ、そういう話を振らない私も悪いのだけど。

    だけど、いつまでもこの状態でいるわけにはいかない。私の恋には敵が多い。
    剣道部の女子の数人も時々先輩を潤んだ瞳で見ていたりするし、
    先輩の下駄箱には毎週ラブレターが入れられている。

    今までは女子部員の籠手の手首を狙って打ったり、
    ラブレターを別の生徒の下駄箱に入れたりしてきたが、
    直接言われたらもう止める術はない。

    「よし、決めました。決戦は月曜日です。」
    「それを言うなら金曜日だろ。あれもいい歌だよな。たしか・・・」
    「あ、着きました。じゃあ先輩。送ってくれてどうもありがとうございました。」
    「あ、ああ。じゃあまた来週部活でな。」
    「はい!」

    この戦い、必ず勝利して、そして・・・今までの先輩との関係の壁を壊します。

    コーヒーで脳がスパークしたので書いた。
    正直、エロシーンがこれでよかったのか反省している。

    PS.私の属性は『後輩』。

     
    785: 名無しさん@ピンキー 2007/01/22(月) 01:10:33 ID:i4qMGm2H
    大河内さんエロいよ大河内さん(*´Д`)ハァハァ
    裸で待っててよかったw
    GJ!
     
    786: 名無しさん@ピンキー 2007/01/22(月) 01:36:08 ID:+Sn+XoUr
    GJです!
    続きの病みの描写に期待
     
    787: 名無しさん@ピンキー 2007/01/22(月) 02:35:42 ID:sXcPKANe

    高校から許される突きを初っ端からぶっ放したり、
    籠手の手と手首の間の布地だけの部分を狙って打ったり……。

    非道いw
    非道過ぎるよ、大河内さん!! (* ´Д` *)ハァハァ

     
    793: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:48:40 ID:sVWolwVr

    続けてレスしてすまない。投下する。


    大河内の自宅の周りには塀が建てられている。
    自宅の敷地内にも道場が建てられているらしく、次の曲がり角までその塀は続いている。
    塀に沿って歩きながら、別れ際に大河内の言った言葉を思い出す。

    「決戦は月曜日ね・・・」

    その言葉はおそらく、『交際の申し込みを月曜日にする』ということだろう。
    確信は持てないが、なんとなくそんな気がする。

    大河内が俺に対して好意を持っていることは薄々感づいていた。
    『練習のあとに一緒に帰ってほしい』と頼み込んできただけだったら、自分の勘違いだと思っていただろう。
    しかし大河内はいろいろな面で俺に関わろうとしてきた。

    ときどきではあるが俺に弁当を作ってきてくれたこと。
    メールアドレスを交換してから毎朝おはようのメールを送ってくること。
    休日に大河内家の道場で家族と一緒に剣道の練習をしようと頼んできたこと。

    あのときは大河内兄に防具をつけたまま便所まで追い込まれた挙句閉じ込められたり、
    絵に描いた様な巨漢である大河内父から、高速の突きを受けてむちうちになったりと散々だった。
    あの日、唯一嬉しかったことは大河内母の作る昼食の豚汁が言葉にできないほど美味だったことだけだ。
    まさにアメとムチ。豚汁とむちうち。
    一回行ったきりだが、また今度行ってみるとしよう。今度は医者同伴で。

    それは置いておいて。

    そんな大河内の姿勢に俺も段々惹かれていき、気づいたら異性として好きになっていた。
    なぜ今まで告白しなかったかというと、一緒に練習をして談笑しながら帰るという関係が心地良かったからだ。
    だがそれも月曜日で終わらせる。こっちから先に告白して、あいつの驚いた顔を拝むことにしよう。

    もし俺の勘違いだったとしても構わない。
    俺は大河内のことが好きだから告白するのだ。

     
    794: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:49:40 ID:sVWolwVr

    俺の家は大河内の家から国道を挟んで向こう側にある。
    国道とはいえ俺の住む町は都市部とは違い九時ごろになるとほとんど車が通らない。
    だからいつもは横断歩道が赤でも車が来なければ渡っていた。

    その日は右側百メートルくらい向こうから車が来ているだけだったのでいつものように渡った。

    『ドサッ』

    向かい側の歩道に着いたときに後ろから物音がした。
    振り向くと、同じ高校の女生徒が手提げバッグの中身を落としてそれを拾っているのが見えた。

    右からは車が迫っている。止まる様子は、ない。

    (ズクン。)

    心臓が締め付けられるのを感じた。
    引き返すな。間に合わない。このまま止まっていろ。そう言っていた。
    それでも恐怖で上手く動かない足を動かし、引き返した。
    もしかしたら助けられるかもという小さな望みが体を動かした。

    女生徒の左側で急停止。
    腰を落として、しゃがんでいる女生徒の腰に右手を回し、引き寄せる。
    この時点で車は二メートル前に迫っていた。視界が光で埋め尽くされる。

    考える時間はなかった。
    反射的に道路についた左手を軸にして両足で地面を蹴り、
    体を移動させることができたのはまぐれ、もしくは運が良かったと言うべきだろう。

    車が一瞬前に自分たちのいた空間を通り過ぎる。と同時に俺は衝撃を受けた。

    最初にゴォンという音と一緒に頭に激痛が走り、

    次に鉄の匂いときつい香水の匂いがして、

    最後に左手から、骨を伝って嫌な音が脳に届いた。

    『ぐきゃ』

    その音を最後に、

    俺は意識を手放した。

     
    795: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:50:37 ID:sVWolwVr

    月曜日。

    大河内桜は早起きして台所で料理しながら変な歌を歌っていた。

    「うっなばら♪ うっなばら♪ うっなばらせ~んぱい♪
    きょうのおかずはハンバーグ~♪
    ポテトサラダもたっくさんいれて~♪
    ニ~ンジンもいっぱいいれました~♪
    ぜ~んぶ た~べてくださ~いね~♪
    さ~いごはわたしをたべちゃって~♪」

    歌の内容のとおり、憧れの海原英一郎の心を射止めるための弁当を作っているのだ。
    メインのおかずは一番得意なハンバーグ。
    以前手作り弁当を食べてもらったときに一番の好評を得ていた。
    食卓では定番のメニューだが時間がかかるため、朝作ることはほとんどない。

    だが今日だけは別である。愛の告白という最重要イベント。
    少しでも勝率をあげるためにはどんな労力も厭わないのだ。

    「じゃあ、行ってきます!」

    母に見送られ大河内桜は勇み足で歩き出した。
    憧れの人が待つ学び舎という名の決戦場へ向かって。

     
    796: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:52:49 ID:sVWolwVr

    今私は屋上で先輩を待っている。
    学校の屋上と言えば昼食をとる学生たちで賑わうものだというイメージがあるが、
    この高校は安くて美味しい料理を出す学食や、テーブルが設置されている中庭もあるので人が滅多にこない。
    告白するには絶好の場所だ。

    朝、先輩の下駄箱に

    『屋上で待ってます。一緒にお弁当を食べましょう。 桜』

    と書いた手紙を入れておいたから先輩はきっと来てくれる。
    でも、さすがに先輩も今日この場で告白されるとは思わないはずだ。

    もし、告白したら・・・

    「先輩。私は、先輩のことが好きです。初めて会った日から好きでした!
    私を先輩の恋人にしてください!」
    「えぇっ!え、あ、いやなんでていうかそういうのはもっとこう
    長くお知り合いになってからのほうがいいのではないかと思うのだが。」
    「もう私たちが知り合ってから10ヶ月目です。十分にお知り合いですよ。」
    「し、しかしだな今月号の保健便りにも思春期の恋愛ではキスを許してしまうと
    男が発狂してその先へ行ってしまうということが書いてあってだな
    つまり何が言いたいかというとだな俺とお前がそういう関係になった場合
    俺が狂人にならないとは言えないわけでだな。」
    「いい、ですよ。」
    「ぇ?」
    「私のファーストキスも、初めても、全部先輩にあげます。
    ・・・先輩。私、本気ですよ。」
    「・・・・・・・・・。
    ・・・大河内。実は、俺もお前のことが――――――

     
    797: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:53:20 ID:sVWolwVr

    「大河内?来てるのか?」
    「『そして私たちは顔を寄せ合い』って、へぁっ!?」

    先輩の声が後ろから聞こえた。振り向くと左肩を壁に当ててもたれかかっている先輩がいた。
    心臓が高鳴る。顔が紅くなるのがわかる。
    まずい。いざとなると頭が回らない。えーと、『私のファーストキスも、』じゃなくて!
    そう!まず一緒にご飯を食べるんだった。告白はそのあと。

    「手紙、呼んでくれたんですね。じゃあ、一緒にお弁当食べましょう。」
    「待ってくれ。その前に言っておきたいことがあるんだ。」
    「ぇ?」

    まさかさっきの妄想が本当に?
    嘘、え。やだ、嬉しい。どうしよどうしよ。
    いや、落ち着け私。先輩の告白の言葉を脳に永久保存するために耳を澄ますんだ。

    「大河内。実は俺な・・・」

    くるっ!

    「この間の夜、事故った。」

    ・・・じこった?
    なんですかそれ。どこの国の言葉ですか?もし日本語だとしたらどの地方で流行っている告白の言葉ですか?

    しかし次の瞬間私は凍りついた。
    先輩が体の後ろに回していた左手を私に見せる。

    左手が、包帯でぐるぐる巻きにされていた。

     
    798: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:54:22 ID:sVWolwVr

    あの夜にあった出来事を大河内に話すことにした。
    こいつには話しておいたほうがいいだろう。

    「国道でうちの高校の女生徒が車に轢かれそうになってて、俺が助けようとしたんだ。
    どうにか女生徒は無事だったけど、俺は左手をタイヤに踏まれて、この通りさ。」

    明るい口調で喋ったつもりだったが、大河内の表情はさらに険しくなった。

    「女をかばって、先輩が怪我をした、ってことですか」
    「まあ、そういうことだ。」

    事故のあとに目を覚ました俺は病院のベッドに寝ていた。
    目を覚ました俺を見て両親は緊張の糸が切れたように座り込んだ。

    聞くところによると、ガードレールの柱に頭を打って倒れていた俺を見て救急車を呼んでくれたのは
    俺がかばった女生徒ではなく、散歩途中のおばさんだったらしい。
    横断歩道に潰れた携帯電話や化粧品が転がっていただけで
    女生徒らしき人影は見当たらなかったそうだ。

    車はそのまま走り去ってしまったらしく、警察が調べてはいるが
    人を直接轢いたわけではないので特定は難しいとのこと。

    怪我の具合を聞いてみたところ、脳波や頭蓋骨・脊椎などに異常は無かったらしい。
    「ただ・・・」と言葉を切った母の視線が俺の左手に向けられていた。
    それにつられて見た自分の左手は、包帯に包まれて楕円形になっていた。

    それを見て嫌な予感がよぎる。
    軽く人差し指を動かしてみようとするが、動かない。ああ、やっぱりか。

    左手が、まったく動かなくなっていた。

     
    799: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:55:15 ID:sVWolwVr

    ここまでの話を聞いた大河内の表情は、絶望の色に染まっていた。

    「右手は動くし、左手は薬を飲んでおけば日常生活に問題はないから学校には通うことにしたんだ。
    ちょっと不便だけどな。」
    「・・・・・・・・・そうですか。」

    いつもの明るい声も暗く沈んでいる。
    何を言っても元気を出してくれないのではないだろうか。

    「・・・完治は、するんですか?」
    「医者の話では骨は元通りになるそうだ。
    ただ以前のように動くかは経過を見ないとわからないってさ。」
    「・・・・・・・・・そうですか。」

    声を聞くたびに俺の気分まで落ち込んでいく。
    こいつのこんな顔は見たくなかった。

    (今告白したら元気、出してくれるかな。)

    馬鹿か俺は。
    ここまで落ち込んでいる人間にそんな話をしたら嫌われるに決まっている。

    「あー、とりあえず弁当食べないか?作ってきてくれたんだろ?」
    「・・・はい。すいません先輩。
    私、急用を思い出しました。・・・失礼させていただきます。」

    そう言って大河内は俺に弁当の包みを渡すと屋上から去っていった。
    あとには俺一人が残された。

    その弁当は確かに美味かった。
    ハンバーグまで入っているということは相当に力を入れて作ったんだろう。
    でも。

    「二人で食べたらもっと美味しいんだろうな。」

    誰もいない屋上でそんなひとり言をつぶやいた。

     
    800: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:56:06 ID:sVWolwVr

    先輩を屋上に残し、ゆっくり屋上のドアを閉めて、・・・そしたらもう我慢の限界だった。

    (なんで!なんでなんでなんで!どうしてこんなことになってるのよ!)

    声には出さないけど心の中では絶叫が響きわたっている。
    いま自分がどんな表情をしているのかわからない。でも、きっと子供が見たら泣くのは間違いない。
    絶望と、怒りと、悲しみが混沌を生み出している。なにがなんだかわからない。
    くらくらする。眩暈がする。足がもつれて、階段を踏み外してしまった。

    「いっっつう・・・うく、くぅ・・・うっうぅぅ・・・」

    泣き出してしまった。痛みからではない。悲しみが堰をきって押し寄せてきたからだ。
    先輩の左手が動かなくなった。そのうえ、元通りになるかはわからない。
    直る可能性もある。でも、もし直らなかったら。

    「そんな・・・そんなこと、考えちゃ、だめ・・・うぅぅ、く、ふ・・・
    いや、そんなの・・・いや。だ、って、もしそんなぁ、ふぁ・・・ことに、なったら・・・」

    先輩は剣道部をやめてしまう。
    つまり、先輩とのつながりが無くなってしまうということ。

    今まで私は先輩と『剣道部の後輩』としてしか付き合ってこなかった。
    お弁当を作ることができたのも『後輩』だったから。メールでの話題も『剣道』のことばかり。
    家に呼べたのも一緒に『剣道の練習』をすることができたから。
    それは先輩が剣道部員だから成り立っている関係だった。

    先輩に対して学校の上級生として接することもできるのかもしれない。普通の女の子なら。
    でも私には無理。今までの人生で男の子とは『剣道』を通してしか関わらなかった。

    そう。『剣道』が無ければ何もできないような臆病者なんだ。私は。

     
    801: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:56:50 ID:sVWolwVr

    だからこそこの関係を早く終わらせようと思ったし、告白する勇気も持てた。
    それなのに、こんなことになるなんて。

    「辞めないで・・・せんぱい。やめないで・・・
    私は、うなばらせんぱいが、いないと・・・もう、だめなんです・・・
    好きです・・・好きです・・・好きぃ、で、すぅ、う、ふぇぇぇ・・・」

    ならなぜ告白をしなかったの?毎日そのチャンスがあったのに。
    後悔してももう遅い。そう思うともっと悲しくなる。

    「なんでぇ。なんでこんなことに、なっちゃったのよぉ・・・
    ふぇ、えぇぇぇぇぇん・・・こんなの、やだよぉ・・・
    どうしてせんぱいは、変なおんななんか、かばって・・・・・・、ぇ?」




    女?
    そうだ。変な女が轢かれそうになっていて、それを先輩が助けて、そして怪我をした。

    涙が止まる。
    意識が覚醒する。体が軽い。心も軽い。
    そう。あの夜。

    「その女が、居なければよかったのに・・・」

    いまさらその女をどうにかしても先輩の左手はすぐには回復しない。でも。

    「その女に、報いを・・・」

    助けてもらった恩も忘れ、立ち去るような人間には。

    「その女に、■を・・・」

    まずは探さなければ。その女を。

    「・・・誰、なのかしらねぇ・・・」

     
    802: あなたと握手を ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/22(月) 22:57:48 ID:sVWolwVr

    妄想が浮かんだので書いた。
    正直、仕事中にも少し書いたことに対して・・・反省していない。

    このお嬢様には
    左手が動かない→剣道をやめてしまう
    とインプットされています。マネージャーでもいけるのに。

    予告:ハッピーエンドにします。
    ただみんなが納得するかは分からない。

     
    803: 名無しさん@ピンキー 2007/01/22(月) 23:36:49 ID:FWYlzihh
    >>802 こいつぁ期待の新人がきたな!
    俺はあんたの作品を読み続けるよ!
     
    804: 名無しさん@ピンキー 2007/01/22(月) 23:37:46 ID:fF6rd5LU
    >>802 GJ!
    テンプレ案も感謝感謝
    450KB越えたしそれで立ててきます
     
    812: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/25(木) 22:43:18 ID:VgLGiMfZ

    ~血に染まる桜~

    偶然早起きして、いつもより早く学校に着くと下駄箱の中に便箋が入っていた。
    周囲を見回して、誰もいないことを確認してから手紙の内容に目を通す。

    『海原君へ
    私は同じクラスになったときからあなたのことが好きでした。
    一度でいいから、二人きりで話がしたいの。
    もしこの手紙を読んで、会ってもいいと思ってくれたら、』

    「『お昼休み、屋上に来て。』か・・・・・・」

    苦節17年、ようやく俺にもモテ期が到来したようだ。
    一ヶ月前に桜と恋人同士の関係になっているから当然返事はNOなわけだが、
    誰が俺のことを好きになったのかということには興味がある。

    「ちょっと話をするだけなら、いいかな。」

    付き合いだしてから桜は一気に嫉妬深くなり、女子部員と話しているだけでも目に見えて不機嫌になる。
    でもクラスメイトからラブレターを受け取ったのに、それを無視したらクラスの女子全員を敵に回す可能性もある。
    学生生活を円満に送る秘訣はテストで赤点をとらないこと、友人を作ること、そして女子を敵に回さないことだ。

    手紙をポケットに入れて教室に向けて歩き出すと、突然背中に針が突き刺さった――ような感じがした。
    振り返っても誰もいない。気のせいにして、再び教室に向かって歩き出した。

     
    813: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/25(木) 22:44:22 ID:VgLGiMfZ

    昼休み。桜は用事があると言って弁当を渡すと、どこかに行ってしまった。
    あいつが俺と一緒に食べないだなんて珍しい。今日は学食で食べ放題パーティーでも開催しているのだろうか。
    あいつも女の子だから、俺の前でガバガバ食っているところを見られたくないのだろう。――とっくにバレバレだが。

    今日のおかずは豚肉の生姜焼きだった。ハンバーグだけでなく、他の料理も上手い。
    大河内母といういい教師がついているから、上達も早いのだろう。
    弁当を完食してから、さっそく屋上に向かうことにした。
    このとき、昼休みは20分が経過していた。

    『・・・・・・ガ、・・・・・・ド、・・・・・・ドス、・・・・・・ドンッ・・・・・・』

    屋上へ向かう階段を上がっていると、音が聞こえてきた。
    それは一段一段上がっていくたびに近づいてくる。
    何か、柔らかいものを叩いているような・・・・・・肉を叩いているときの音に似ている。
    一定のリズムで聞こえてきたその音が止まると、今度はどこかで聞いたことのある声がした。

    「ぁは・・・・・・こ・・・で、この泥棒・・・は動・・・・・・く、なったわ・・・・・・」

    桜の声、だった。――嫌な予感がする。
    俺を待っている女の子。桜。肉を叩く音。

    心が警鐘を鳴らしている。鳥肌がたつ。
    階段を駆け上がり、屋上へ続くドアを開けた俺が見たものは――

    屋上の床一面を染める鮮血と、
    制服を血に染めて、ありえない方向に体の関節を曲げて動かない女生徒と、
    血に染まった木刀を持ちながら、笑い声をあげる少女の姿だった。

     
    814: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/25(木) 22:45:01 ID:VgLGiMfZ

    桜が狂った。そうとしか思えない。
    いくら嫉妬深いとはいえ、まさか人に危害を加えることはないと信じていた。
    だが目の前にいる少女は、俺に告白をしようとした女の子を木刀で動かなくなるまで殴った。

    俺の方を振り向いた桜は、返り血を浴びたまま笑顔を浮かべていた。

    「ああ、先輩。ちょうど良かった。今終わったところでした。」
    「っ・・・・・・終わったって、何が・・・・・・だよ。」
    「泥棒猫の退治ですよ。猫らしく逃げ足だけは速かったですけど、膝の骨を砕いたら倒れて動かなくなりました。
    そこからはすぐに片がつきましたよ。もう、息の根を止めちゃいました。」
    「・・・・・・さ、く、ら・・・・・・」
    「ところで先輩。お弁当の生姜焼きは美味しかったですか?
    今日の出来はかなり良かったからお母さんも褒めてくれたんですよ。
    だ・か・らぁ、先輩も褒めてください。」
    「おまえっ・・・・・・!」

    今回ばかりは、俺の堪忍袋も緒が切れた。

    「桜ァァッ!!」

    床に置かれていたのモップを手に取り、桜めがけて突進する。
    突進の勢いをのせた横薙ぎの一閃は、木刀で受け止められた。

    「せ、先輩?! いきなり何するんですか!」
    「何も言うな。もうお前は――寝てろ!」

    モップを離し、みぞおちに向かって全力で拳を叩き込む。
    桜はそのまま脱力して、床に倒れこむ――――ことなく、前かがみのまま喋りだした。

    「・・・・・・そうですか。ここで、私と手合わせをしたいっていうことですね。
    いいですよ。じゃあ――――死合い、開始です。」

    そしてその体勢のまま左手で木刀を腰溜めに構えて、――――まずい
    右手で木刀の柄を振り抜くのが見えた。――――しゃがめ!

    ビヒュッ!

    木刀を振る音ではなく、鋭い刃物が空気を切り裂く音が耳元で聞こえた。
    床に落ちたモップを拾い、続く袈裟切りを転がって避ける。

    右手には、真剣が握られていた。

     
    815: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/25(木) 22:46:23 ID:VgLGiMfZ

    「おまえ、そんなものまで・・・・・・」
    「綺麗な刀でしょう?昨日道場の倉庫の中で偶然見つけたんですよ。
    先輩に見せようと思って持って来たんですけど・・・・・・
    まさか先輩と死会うことができるとは思いませんでした。」
    「俺も、殺すつもりなのか・・・・・・」

    首を傾げて考えるような仕草をしながら、正眼の構えで俺と向き合った。

    「ちょっとだけ、違います。
    先輩は、私と離れたくないって言いましたよね。もちろん私も同じ気持ちですよ。
    でも先輩は私というものがありながら、泥棒猫のところに行こうとした。
    私はずぅっとずぅぅっと欲しかった先輩を手放す気は、全くないんですよ。」

    俺と正面から向き合った刀の切っ先は微動だにしなかった。
    だからその凶刃が俺に向かってきても、気付くことができなかった。人と人が歩み寄るように日常的に、自然に近づいてきた。

    ――――気付いたときには、すでに俺の左胸から刀が生えていた。

    「そのためにはどうすればいいか、必死で考えました。
    先輩と一つになってしまえばいいんです。物理的な意味で。」

    桜が抱きついてくる。優しい抱擁だった。俺の心臓から流れ出してくるものを全て受け止めるような。

    「大丈夫です。私と一緒になれば喜びも、怒りも、哀しみも全てが楽しみに変わります。
    これからは何も心配しなくていいんですよ」

    ――魅力的な誘惑だ。そしてこの誘いに対する拒否権は与えられていない。

    じゃあもう、いいや。あきらめて、ねてしまおう。

    おやすみ。さくら。

    あはっ、あはっ! あはははは! あぁっははははははははははっ!





     
    816: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/25(木) 22:47:21 ID:VgLGiMfZ





    「・・・・・・という夢を見たんだ。」
    「・・・・・・そうですか。」
    「お前、まさかそんなことを考えてないよな?」
    「・・・・・・・・・・・・」
    「なぜ目をそらす。」
    「・・・・・・ちっ」
    「なぜ舌打ちをする。」

    桜は木刀を竹刀袋の中に入れた。

    血に染まる桜・終わり

    『ひどいよ!おおこうちさん』のネタはあと四つほどあります。
    三日、もしくは四日連続で投下する予定です。

     
    817: 名無しさん@ピンキー 2007/01/26(金) 00:05:54 ID:206hWlB1

    ちょwwwwwひどいよ!おおこうちさん!

    てかGJ!大河内さんテラモエス(*´д`*)ハァハァ

     
    819: 名無しさん@ピンキー 2007/01/26(金) 01:17:32 ID:+j6uJi3S
    さいこうだ!
    あんた神だよ!
     
    821: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/27(土) 04:46:57 ID:N3CylHm4
    >>819 神は死んだ!私の正体は超人めsゲフンゲフン

    意外と好評らしいので続きを投下します。大河内はちょっとだけ出てきます。


    ~ある同級生の回想録~

    私が彼に対して想いを寄せるようになったのは、一昨年の春のことだった。





    入学式が終わって、一年A組の教室で初めてのHRが行われた。
    クラス担任の自己紹介の後は、クラスメイト全員の自己紹介が始まった。
    こういうときの自己紹介というものはたいていつまらないし、平凡なものだ。
    前の席に座っていた男子生徒の自己紹介も内容は平凡なものだったが――、

    「宮内(くない)中学校出身、海原英一郎です。
    中学校では剣道部に入っていました。これから一年間、よろしくお願いします」

    含まれていた単語は無視できるようなものではなかった。

    私が居た岩戸(いわと)中剣道部の先生と宮内中剣道部の先生は
    姉妹の関係で、揃って勝負事が大好きだった。
    その影響で、両校の剣道部は月一のペースで代表五人を選出し、練習試合を行っていた。
    対戦方法は勝ち抜き方式。先鋒が一人で五人抜きをすることもできるルールだ。

    両校のポイント差は、私が二年生になった時点で15まで開いていた。
    しかし、三年になったときにはポイント差は3にまで縮み、
    七月に行われた最後の試合で、とうとう逆転されてしまった。

    弱小剣道部に脅威の16連勝をもたらした選手の名前は海原英一郎。
    中学時代、一度会って話してみたいと思っていた人間が私の前には座っていた。

     
    820: 名無しさん@ピンキー 2007/01/27(土) 01:45:51 ID:E+rnGFh2
    それ何てエロゲ?
     
    822: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/27(土) 04:48:04 ID:N3CylHm4

     私の勝手なイメージでは荒々しくて粗暴な男だったが、
    目の前にいる男子生徒はそのイメージとは違い、話しやすそうな相手だった。
    心の準備を終えて話しかけようとした瞬間、先手を打たれた。

    「えーと、違ってたら・・・・・・ごめん。
    もしかして君、岩戸中の剣道部にいた?」

    どこか申し訳なさそうな感じで話しかけてきた。

    「え、と――うん。そうだよ。
    それで、君が本当に海原君? なんだかイメージと違うなぁ。
    そぼ・・・・・・じゃなくて、武士みたいな人なんだと思ってたよ」
    「武士って・・・・・・俺、そんな風に思われてたの?」
    「うん。部員全員がそう。だってそうでも思わないとこっちはやってらんないもん。
    『宮内中の海原には合戦で無念の死を遂げた侍の霊が宿っている』っていうのが
    卒業前に一番流行っていた仮説だったね。今頃は『武田信玄』とかになってるかも」
    「んなあほな・・・・・・」

    冗談なのに。どうやら彼は真面目な人間らしい。

    「それでさ・・・・・・恨まれたりは、してなかったのかな」
    「二年生の夏ごろまでは私も・・・・・・ちょっとだけ。けど、三年生になるころにはもう皆あきらめてたね。
    だからそんなに気に病む必要はないよ」
    「そっか・・・・・・良かったぁ。
    いつか後ろから刺されるんじゃないかって内心びくびくしてたからさ」

    そう言って彼は安堵したような笑顔を浮かべた。
    その表情は、先刻まで彼に対して抱いていたイメージとは大きなギャップがあった。

    その笑顔に不覚にもときめいてしまった私を誰が責められようか。





    それから海原君と私は剣道部に入部した。
    そのまま一年間彼と部活での仲間兼クラスメイトとして過ごして、そろそろ
    次の関係にステップアップしようと思っていた四月。

    入部してきた後輩にいきなり彼の隣のポジションを奪われた。

     
    823: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/27(土) 04:49:34 ID:N3CylHm4





    忌々しい。そして今まで行動しなかった自分自身が恨めしい。

    あの泥棒猫は校外練習という理由で練習好きの海原君を誘惑し、
    同時に一緒に帰るという約束まで取り付けてしまったようだ。
    貧弱な体しか持ち合わせていないが、頭だけは回るらしい。

    このままでは突き放すということを知らない彼はずるずるとあの女と親しくなっていき、
    帰り道に突然振り出した雨の日なんかに、
    「先輩。もう夜も遅いから泊まって行きませんか」
    とかなんとか言われて無理矢理家に連れ込まれてちょうどその日は家の人が居なかったりなんかして
    「先輩。まるでこの世界に二人だけしかいないみたいですね」
    とかなんとか言われて本当に二人だけの世界にくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

    まずい。それだけは防がなければいけない。
    今まで海原君を満足させるために色々な本でアッチ系の勉強をしてきたというのに、
    全てが水の泡になってしまう。

    よし・・・・・・今日の練習が終わったあと、泥棒猫と一緒に帰る前に
    明日彼とデートする約束を取り付けよう。
    彼の心を先に奪ってしまえばあの女も強引なことはできないはずだ。

    彼は私の数歩先を行きながら練心館へ向かっている。
    私はその背中に視線で念を送りながら、歩く速度を上げた。

    今日の校外練習ではくじびきで決めた相手と試合をすることになった。
    私の相手は運のいいことに泥棒猫だった。

    (あなたの弱点は、お見通しなのよ。)

     
    824: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/27(土) 04:50:29 ID:N3CylHm4

      『はじめ』の合図前から、わたしは勝利を確信していた。

    しゃがんでいる泥棒猫の右膝が私の方に真っ直ぐ向けられている。この体勢は
    『開始直後に突きを繰り出す』という合図だ。
    そして『はじめ』の合図と同時に私も突きを繰り出せば、リーチの長い私の突きが
    カウンターで泥棒猫の喉に突き刺さることになる。

    「はじめ!」

    きたっ!全力で私の突きを喉元に――

    居ない。消えた。

    いや、居た。開始の合図と同時に左へ跳躍し、私の突きをかわしていた。
    体勢を崩して隙だらけの私に向かって、竹刀が走る――――

    ――さて、みなさんは剣道をしたことがありますか?
    ――そして、籠手の手首部分だけを思いきり打たれたことがありますか?
    ――私はあります。たった今、ポニーテール頭の後輩に打たれました。痛い。

    その後は右手の握力が戻らず、一本目の籠手に次いであっさり面を打たれ、試合終了。

    結局右手の痛みで海原君をデートに誘うことをすっかり忘れてしまい、
    早々に帰宅してしまった。

    現実は、予想通りにはいかない。





     
    825: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/27(土) 04:51:28 ID:N3CylHm4

     そして現在、私は屋上で海原君を待っている。

    先月、海原君と泥棒猫と付き合いだしたということをひとづてに聞いてから、
    彼を奪うために練ってきた作戦を実行するためだ。

    作戦名は『寝取る』。
    作戦の内容は『彼と二人きりの状況に持ち込み、強引に既成事実を作り出す』。

    うふふ。残念だったわね。泥棒猫さん。
    彼は強引に私のものにするわ。
    あなたには無い物――自慢の体――を使って、ね。

    『ガチャ』

    後ろからドアを開く音が聞こえた。ターゲットが到着したようね。

    「うな・・・・・・っばらくん?」

    振りむいても誰も居なかった。おかしいな。風で開いたのかな?

    『迷子の 迷子の 子猫ちゃん♪』

    歌が、聞こえた。

    『あなたの お家は どこですか♪』

    あの、泥棒猫の声。

    『お家を 聞いても答えない♪
    名前を 聞いても答えない♪』

    後ろから、聞こえる。

    『だって その子 生きてないもの♪
    血を流してる子猫ちゃん♪』

    ――作戦名変更。『逃げろ』。

    『町の 保健所さん♪
    困ってしまって ズンドンドドン♪ ドンズンズドン♪』

    ――――膝が、砕けた。

     
    826: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/27(土) 04:54:01 ID:N3CylHm4

    「――ハッ!ハッ、ハッ、ハッ、・・・・・・ゆ、夢・・・・・・?」

    私は今、自分の部屋のベッドに寝ていた。

    「・・・・・・そりゃ、そうよね。あんなの、夢に決まってるわ」

    まさかあの子でもあそこまでしたりはしないでしょう。・・・・・・たぶん。

    それよりも早く寝ないと。
    明日は早起きして海原君の下駄箱に手紙を入れないといけないんだから。

    「海原君。おやすみなさい」

    写真立ての中で笑顔を浮かべる同級生を胸に抱きながら眠りについた。

    ある同級生の回想録・終わり

    気付いたら、朝いつも起きる時間になっていた。
    正直、今日が土曜日だということにとても感謝している。

    今までの書いてきたもののなかで一番時間がかかりました
    キャラ設定が甘いと苦労するということを身を持って味わいました

     
    827: 名無しさん@ピンキー 2007/01/27(土) 07:19:52 ID:z+bpXimj
    GJ! 怖カワイイヨ大河内さん((( ;゚∀゚)))ガクブルハァハァ
     
    828: 名無しさん@ピンキー 2007/01/27(土) 16:18:07 ID:kKCDeWwi
    結果的に振られなかったしいい人だな。>大河内さん
     
    830: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/28(日) 07:11:04 ID:wFSh9mQ6

    ~一月末、海面の上昇により桜前線北上~

    八月末の土曜日。ツクツクボーシが最後の力を振り絞り、
    その役目を終えようとしていたある日のことだった。

    私の期待を裏切り剣道バカに育った娘の桜が、

    「お母さん! 明日部活の先輩が来るから、先輩の分のお昼も用意してもらっていい?」

    と言ってきた。

    桜は元気な娘に育ってくれた。
    夫と私は長男にだけ稽古をつけていたから、
    親の愛情を知らない子供に育ってしまうかもしれないと
    心配していたが、杞憂に終わってくれた。
    家にもよく女の子の友達を連れてきたし、
    仕事で家を空けることの多い私の代わりに家事もこなしてくれた。

    桜は私にとって――こう言うと親馬鹿に聞こえるが――自慢の娘だ。

    しかし、心配なこともあった。
    それは、全くと言っていいほど男の話をしたことがないということ。

    容姿は私に似て愛らしいし、身長も夫に似ることなく
    上目遣いをしたら男のハートを射止めることができる絶妙の高さ。
    男にもててもおかしくないはずだ。
    もしかしたら男に興味が無いのでは、と心配したこともあるが、
    家に連れてくる女の子たちを見る目は友好の眼差しだった。
    とはいえ、変な男がくっついてきても困ると思い、
    そのまま放っておいたある日のことだった。

     
    831: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/28(日) 07:12:04 ID:wFSh9mQ6




    高校の剣道部に入部してから二日経った日の夕食の席で、こんなことを言い出した。

    「今日ね、練習で対戦した男子の先輩とね――」

    驚いた。桜が男の子の話をし始めたのだ。絶句してしまうのも無理はない。
    しかし、夫と長男の反応は一味違った。
    長男は鈍器で頭を殴られたように呆然としているし、
    夫にいたっては焼酎を吹いた上椅子から転げ落ちた。

    嬉々として部活の話を終えた娘は、夫に向かって
    「校外練習をするために練心館を使わせて欲しい」と頼んできた。
    剣道バカではあるが、桜は校外練習をするほどのめり込んではいなかった。
    それなのに校外練習のために道場を貸してくれと頼んできたということは、
    その先輩と少しでも一緒にいたいという考えなのだろう。

    しかし、それでは練習を終えて帰宅するころには夜八時を過ぎてしまう。
    そう思い反対しようとしたら、また驚かされる言葉を返してきた。

    「大丈夫。そんなに家から離れてないし、毎日先輩に家まで送ってもらうから」

    ・・・・・・どういうことだ。今まで男と縁の無かった娘がここまで積極的になるとは。
    もしやその先輩とやらに惚れ薬でも飲まされたのか。・・・・・・いや、さすがにそれはないか。
    娘の成長を嬉しく思った私は、校外練習をすることに賛成したが、夫と長男は反対した。
    心配するのはわかる。しかし、娘の恋を成就させるため(同時に夫の娘離れと長男のシスコンを治すため)には
    賛成させるしかない。

    一時間の議論の末、「あんたたち、いい加減に(桜から離れ)なさい!」という私の一喝で
    娘の校外練習は了承された。





     
    832: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/28(日) 07:12:59 ID:wFSh9mQ6

     それから四ヶ月が経ち八月になった今、ようやくその先輩を
    我が家に連れてきてくれるらしい。
    そういうことなら私も張り切らないわけにはいかない。
    一番の得意料理である特製豚汁を用意して娘の夫――もとい恋人候補を
    出迎えることにしよう。

    ただ、やけにご機嫌な様子でご飯を食べる夫と長男が不気味ではあった。

    翌日の日曜日。
    桜が剣道部の先輩だという男の人を連れて家に帰ってきた。

    もしかしたら夫のような巨漢か、長男のように痩身の男でも連れてくるかもしれないと
    内心覚悟を決めていたが、拍子抜けするほど普通の男の子だった。
    中肉中背。くっきりした二重まぶた。そしてなにより、若い。

    じゅるり。

    いやいや、37才にもなって年がいもなく興奮している場合ではない。
    今日は娘と我が家に対する心象をよくするために努力しなければいけないのだから。

    午前十時に家族全員が参加して、彼――海原英一郎君の実力を見ることにした。
    打ち込みを見ている限りでは、桜が話にするだけあっていい筋をしている。
    体の使い方も上手だ。高校生にしては、だが。

    一時間ほどして一通りの基本練習を終えたので、
    お茶でも飲みながら英一郎君を質問攻めにしたい気分だったが、
    長男が彼と試合をしてみたいというのでやらせてみた。

    正直、やらせなければ良かったと後悔した。実力差がありすぎた。

     
    833: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/28(日) 07:14:28 ID:wFSh9mQ6

     長男の放つ威圧感は、喩えるなら『壁』である。
    その細身の体からは想像できないほどの広い『壁』。

    前進するたびにその『壁』は押し寄せてきて、
    気がついたら逃げ道を塞がれそのまま仕留められてしまう。
    実力が上の人間なら壁を押し返すなり横に抜け道を見つけるなりして
    自分の土俵で勝負をするのだが、高校生である彼には無理だったようだ。

    『壁』に追い詰められて白線の外に出て、トイレまで誘導されてから閉じ込められた。

    ちょうどその時点でお昼の時間になったので、道場から引き上げることにした。
    長男は足首を縄で縛って、カロリーメイトを与えてから更衣室に閉じ込めて鍵をかけておいた。
    当然、水抜きで。

    お昼に私がふるまった豚汁を英一郎君は何杯もおかわりしていた。
    「ものすごくおいしいです」と言いながら食べるその姿を見ていたら、
    まるでもう一人の息子ができたような気分になった。

    可愛い。食べてしまおうか・・・・・・

    と不埒なことを考えたが、正面に座っている桜が今までに見たことのない目で睨んでいたので、
    早々にごちそうさまをしてから道場へ向かうことにした。

    午後の練習は一時から始めることにした。
    今度は英一郎君と夫が試合を行った。
    夫の実力は長男でさえ歯牙にかけないほどのものだから、
    当然内容は一方的なものになる。
    しかし夫よ。さすがに全力で突きを出すことはないだろう。

    英一郎君は突きを受けて、腰を軸に体を4分の1ほど回転させてからそのまま落下した。

    彼が機嫌を悪くして二度と家に来なくなったりしたらどうやって私――じゃなくて、
    桜に謝るつもりだ。今夜の晩酌は焼酎だけ与えてつまみは無しだ。

     
    834: ひどいよ!おおこうちさん ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/28(日) 07:16:41 ID:wFSh9mQ6

     試合を終えたあと、英一郎君はすぐ帰ることになった。
    首を痛めたという理由ではなく、最初から練習をするためだけに来たらしい。
    桜も晩御飯までご一緒する約束を取り付ければよかったのに。
    ・・・・・・まあ、異性の先輩を連れてきただけでも充分な進歩だと言えるだろう。

    「じゃあ、今日は本当にありがとうございました」

    そう言って英一郎君は背を向けて帰っていった。

    いいえ。また来てくれたら同じ料理をごちそうしますよ。
    だから今度はお義母――おばさんと試合しましょうね。
    ――たっぷり可愛がってあげるから。

    と不埒なことを考えていたら桜が色の無い目で私を睨んでいたので、
    すぐさまきびすを返して家の中に入ることにした。





    それから英一郎君が道場へ練習に来なくなってから一月になり、
    剣道協会の仕事から夫婦と長男揃って朝帰りしたら桜からこんな台詞で出迎えられた。

    「おかえりなさいお父さん、お母さん、お兄ちゃん!
    あのね、私海原先輩と付き合うことになったから!」

    その後で私は喜んだり、桜が足に包帯を巻いていることに気づいて慌てたり、
    夫が叫びだすやら、長男が気絶するやらで朝からてんやわんやの事態だった。

    それから、桜は毎日花が咲いたような笑顔を浮かべるようになった。
    我が家の桜には一足先に桜前線が到来したようだ。

    ありがとう。海原英一郎君。

    一月末、海面の上昇により桜前線北上・終わり

     
    835: あとがき ◆Z.OmhTbrSo 2007/01/28(日) 07:18:26 ID:wFSh9mQ6

    本当はあと二つネタがあったんですが、ボツにしました。
    書いてみようとはしましたが、どうやったら結末まで持っていけるかが浮かびませんでした。
    (メモ帳に『結婚』とか『桜の木の下に埋めてあげる』とか書いてどうする気だったんだろうか>俺)

    『ひどいよ!おおこうちさん』はこれで終幕です。
    同時に『ヤンデレ?娘』と『恥ずかしい男』のお話もおしまいです。
    大河内と海原を愛してくださったみなさま。
    本当にありがとうございました。

    また私の埋めネタも尽きましたので、
    どうぞみなさん存分に埋めてください。
    ↓↓↓↓↓↓↓↓
     
    836: 名無しさん@ピンキー 2007/01/28(日) 10:22:23 ID:oqk/Q3rB
    乙です。内容もGJですけど
    短期間でこれだけ書けるエネルギーも尊敬。
    次回作も期待しておりまつ
     
    837: 名無しさん@ピンキー 2007/01/28(日) 10:31:53 ID:+4XyCBC7
    ほのぼのしてるなGJ
     
    838: 名無しさん@ピンキー 2007/01/28(日) 10:47:55 ID:fRy+f1sw

    ヤンデレ部分が少なめだったけど面白かったぜ

    GJ

     
    839: 名無しさん@ピンキー 2007/01/28(日) 12:26:26 ID:cUTalHFJ
    GJでした
    次回作もwktkしてお待ちしております
     
    このシリーズの一覧だオラッ!

    「【エロ小説・SS】剣道部で知り合った後輩はツンデレかと思いきや、ヤンデレだったでござるよwwwww」終わり

     

    な、なんやこれ?

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